手振れ補正ユニットの超音波モーターを駆動する

デジカメ用の超音波モーターを動かします。XYの2軸のアクチュエータで、物体をサブミクロンオーダーで精密に動かすことができます。
前回作ったレーザー顕微鏡の改良のために、物体を精密に動かすステージが必要だったので、手振れ補正ユニットを試してみます。

なにこれ

コニカミノルタが開発した、デジタル一眼レフカメラ用のセンサーシフト方式手振れ補正ユニットです。(コニカミノルタが開発、その後ソニーがコニカミノルタのカメラ部門を買収)

コニカミノルタ・ソニーのAマウント機に入っています。
ちなみにEマウント機の手振れ補正ユニットは超音波モーターではなくボイスコイルモータを使ってるらしいです。参照:ifixit α7R II

コイツには SIDM型リニアアクチュエータ が2本付いており、X・Y軸でイメージセンサを動かすことができます。

Image stabilizer group Anti shake assy Frame repair parts For Sony DSLR-A230 A330 A380 Camera
Image stabilizer group Anti shake assy Frame repair parts For Sony DSLR-A230 A330 A380 Camera

アクチュエータ

可動域は横4mm、縦3mmくらい。
圧電素子を使った超音波モーター(USM)。
SIDM 型 USM。のこぎり波 を入れると動くらしい。

使われている圧電素子はたぶんこれ→ 慣性駆動型 超音波モーター用 アクチュエーター

3Vp-pでの変位量が280nmなので、サブミクロンオーダーの精密な移動ができる。すごい。
今回はフルブリッジドライバで3レベル出力だが、PWM駆動のD級アンプで電圧を変えられるようにすれば、ナノメートル単位の移動もこなせるのでは?

摩擦で押し出す仕組みのアクチュエータなので、手で無理やりスライドさせると、摺動部が壊れてしまう。
無通電時は固定されている。VCMみたいに自由に動くわけではない。
VCMと勘違いして、「なんか動き固いなー」とか言って手で摺動させたら壊れた。つらい。一個2500円もするのに。

動かし方

SIDM型アクチュエータは、のこぎり波を加えると動きます。のこぎり波の極性によって移動方向が決まります。
矩形波で共振させて動かすモードもありますが、難しそうなのでやめました。

駆動回路

駆動中の電流は200mA、最高で500mA程度になります。それだけの電流を余裕をもって扱える回路を組みましょう。

出力電流1A以上 ・ PWM周波数100kHz以上 のフルブリッジドライバなら何でも使えると思います。 今回は手元にあったモータードライバIC TB6643KQ を使っていい感じに組みました。
TB6643KQは動作電圧の下限が高くて使いづらい(9Vを下回るとUVLOで動作停止)ので、3V – 5V程度でも動作できるモータードライバICを使ったほうが良いです。

例えば、TC78H660FNGというドライバICが使いやすくて良さそうです。

動かす

モータードライバの入力に位相をずらした矩形波を入れることで、正転・制動・逆転の順番に制御すれば、3段階で疑似的な矩形波を出力できます。

駆動周波数およびduty比が合ってないとうまく動きません。現物で調整が必要です。
駆動周波数は 20kHz – 70kHz 、duty比は 10% – 40%、の範囲で試してみて、一番よく動くパラメータを見つけましょう。
私の場合は、50kHz・duty比25% がうまく動きました。

位置検出

手振れ補正ユニットには、位置検出用のホールセンサが付いています。

型番: AKM HQ8220

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